2011年03月19日

音楽はYouTubeで聴けば十分か?

YouTubeには世界中のあらゆるジャンルの音楽がアップロードされています。昔は著作権所有者に無許可でアップロードされたものであれば削除されることが多かったのですが、著作権管理団体との包括契約やコンテンツIDシステムによって著作権保有者がそれらからも収益を得ることが可能となったため、最近は削除されないケースが増えてきています。また、アーティストやレーベルも宣伝のために公式のチャンネルでPVを公開するようになってきています。おかげで、一昔前とは比べものにならないほど容易に気になる音楽をチェックすることができるようになりました。しかし一方で、好きなアーティストの作品であってもYouTubeで聴くだけで満足してしまっている人や、無料で聴けるからわざわざ金を払ってCDを買う気がしないという人もいるようです。Twitterでも、botのフォロワーさんから「YouTubeを紹介してくれたおかげでCDを買わなくて済みました」といったコメントを頂くことが時々あり、ちょっと…と思うことがあります。そこで今回は、音楽紹介ツイートの趣旨や、音楽の聴き方などについての個人的な考えを書いてみました。


音楽紹介botを作ろうと思った理由

「音楽批評」は「音楽キュレーション」へ

かつては、音楽ファンは事実上アルバムを買うしかなかったため、自分の選択に慎重になる必要があった。そこで、購入決定のガイド役として頼みにされたのが、「音楽批評家」と呼ばれる、出版社に雇われた人々だ。人々は、ラジオでたまたま耳にするか、ヘッドフォンで無料試聴できるレコード店で列に並ぶ以外、その曲がどう聞こえるのか知る方法がなかったのだ。

現在人々は、世界中のたいていのバンドの音楽について、『YouTube』『MySpace』『Spotify』、そしてファイル共有サービス『The Pirate Bay』などで、1分足らずで調べることができる。こうした状況のなかで、音楽評論家の役割はかなり縮小しており、批評よりもキュレーションが重要になっている。

上の記事で述べられているように、音楽を直接聴く機会に乏しかったため批評家が書いたレビューを頼りにするしかなかった時代に比べ、今は知りたい音楽を簡単に聴いて確かめることができます。よって、インターネットによる情報収集が得意な人は、音楽雑誌やCD屋の大げさな売り文句に騙されて失敗することが少なくなり、その分自分の好みに合った音楽やマイナーな音楽の発掘により効率的に投資することができるようになりました。

しかし、大多数の人は、インターネットで世界中の情報を自ら調べられる時代になっても相変わらず日本語のマスメディアを主な情報源としており、ツイッターでも大手レコード店や音楽メディアの公式アカウントからの情報ばかりが注目を集めているように見えます。よって、それらに取り上げられないマイナーなジャンルの音楽や、日本と欧米の一部以外の文化圏における音楽などは、一部の物好き以外には未だほとんど知られていないというのが現状です。

そこで、インターネット上に溢れる音楽情報の中から、時代を超えて愛される真に良質な音楽や大手メディアに取り上げられない面白い音楽を選び出し、YouTubeリンク付きで紹介することで、少しでも多くの人が知らなかった音楽に出会い、音楽の幅を広げるきっかけを提供できればと思い、音楽紹介botを作ることにしました。


「試食」だけで満腹になっていてはいけない

よくある意見・質問に対する回答にも書いていますが、botの一連のツイートは通して聴くためのプレイリストではなく、CD屋の試聴サービスのようなものとして位置づけています。YouTubeで紹介された曲はあくまでも参考として、皆さんそれぞれがそこから自分の好みに合った音楽を見つけ出し、より深く掘り下げていくことが重要です。

YouTubeを聴くだけで満足してしまっている人というのは、例えるなら試食だけで満腹になってしまっているようなものです。それは一見経済的に思えるかも知れませんが、結果的にどの料理も深く味わうことができなくなります。

試聴用のYouTube音源にはなるべく音質の良いものを選ぶようにしていますが、それでもCDや高ビットレートのMP3などに比べるとかなり劣化しています。とりわけ、ジャズはオーディオマニアのファンが多いことからも分かるように、再生環境の違いによって音楽の表現力が大きく変わりますし、エレクトロニカや音響系などのジャンルでは、作品制作のプロセスにおいて、録音やミキシングが作曲や演奏と同等またはそれ以上に重視されています。したがって、YouTubeで試聴するだけではこれらの音楽の本当の良さを十分に味わうことはできません。実際、YouTubeで試聴した後、CDを買って聴くと全然印象が違ったりすることもよくあります。アーティストが表現したかったことを正しく理解するためにも、これらのジャンルの音楽はできるだけ高音質で聴くことをおすすめします。


人生を彩る音楽

音楽には、特定の思い出や感情を呼び起こす力があります。友人や恋人と過ごした日々や、旅先、大きなイベントがあったときなどに時を共にした音楽は、いつ聴いても色褪せることなく当時の美しい思い出を蘇らせてくれます。音楽によって人生は彩られ、また人生によって音楽はより魅力的なものになるのです。

一方で、PCや携帯で暇つぶしに再生していただけのYouTube音源は、たとえそれがどんなに音楽として素晴らしいものであっても、それだけでは一生心に残るような音楽体験にはならないでしょう。中には気に入ったYouTubeの動画をダウンロードしてiPodなどに入れ、日常的に聴いているという人もいるかも知れませんが、劣化した違法ダウンロード音源に彩られる人生というのは何だか残念な感じがします。素晴らしい音楽を創ってくれたアーティストへの感謝という意味でも、やっぱりちゃんとした音源を買って聴くべきでしょう。

若い人の中には、自販機のジュースやコンビニの菓子など、消費してしまえば後に何も残らないような物には何の抵抗もなく毎日何百円も遣うのに、一生付き合えるかも知れない音楽にお金を払うことにはなぜか異常に抵抗を持っているという人が結構いるようです。しかし、そのような考え方はものすごくもったいないと思います。いい大人になってから若い頃に聴かなかった音楽を大人買いしても、その音楽は青春の思い出を呼び起こしてはくれません。若い今だからこそ、自己投資だと思ってたくさんの良質な音楽に触れ、その後の人生を豊かにしていきましょう。



タグ:music twitter
この記事へのコメント
ありがとうございます。あなたの意見に賛成です。
Posted by akira at 2011年03月26日 11:23
いつも新しい音源と出会う機会をありがとうございます! まさしくおっしゃられているとおり、音楽は季節で花の匂いが違ってくるように、人生でも 鳴り がありますよね。

40前ですが、いまだに その喜びを
知ってることを嬉しく思います。
Posted by G at 2011年03月26日 11:26
とても納得しました。
これからもよろしくお願いします。
Posted by tockmey at 2011年03月26日 11:27
お邪魔します。
Twitterの方で、いつも参考にさせて頂いてます。

音楽媒体、音質、諸々と同意する次第です。
しかしそんな自分も、ついつい便利にインターネットを使ってます(笑)
YouTubeについても…「あれ、あのフレーズどうだったっけ?」とか「あの曲のあの部分、カッコ良かったよなぁ〜」など思った時に、レコードやCDをゴソゴソ探すより手っ取り早い。

でも、じっくり音楽を聴く時は今でも昭和のアンプとデカいスピーカーでアナログ盤を聴いてます。
昔、音楽雑誌を購入して新譜情報を仕入れたり、ライナーやジャケットを眺めながらレコードを聴いたり、FM放送のエアチェックに余念の無かった時代に浸ります。
ホント、良い時代でした。
Posted by bonzoh_g_d at 2011年03月26日 11:37
私は好きな曲はやっぱり自分で形として持っておきたいのでパソコンでダウンロードとかもできないです。ちゃんとCDとかを所有したいという物欲があります。それは時が経って久しぶりに聞いても大好きだった頃の思い出がよみがえるからです。まだtwitterフォローし始めて間もないですが、かなりハマル曲が多くてやばいです。ここで紹介されてチェックしてその人のほかの曲もチェックして好きなら買えCDなら買ってしまうと思います。
昔レコードなんてめったに買えなくてラジオとかでがんばってエアチェックしたものさえいまだに消せない私ですが・・・
Posted by mido at 2011年03月26日 23:32
おっしゃってることは普通のことなのでおおむね同意です。
ただ、もしAmazonリンクがアフィリエイトであるなら
説得力が半減してしまいますけどね
どうしても「アフィから買わせる為に」言ってるように受け取る人も多いでしょう。
Posted by 矢藤 at 2013年03月04日 00:43
矢藤さん

コメントありがとうございます。
確かにそのように受け取られる方がいらっしゃるのも理解しています。

私としては、ただ動画を楽しんでもらうだけで終わってしまうのでなく、そこから少しでも応援しているアーティスト達の収益増加、音楽業界の活性化に繋がればとの思いから、Amazonのリンクを併記するようにしています。

Amazonアソシエイトには登録していますが、これはAmazonを宣伝してあげることへの対価として、Amazonが得た利益の一部を報酬として受け取るシステムであり、それによってアーティストの取り分が減ったり、購入者が余計に支払ったりするわけではありません。アソシエイトを経由せずにリンクを張るべきだと言う主張は、要するにAmazonに丸儲けさせてやるために無償で貢献してやれと言っていることになります。個人的には、ただでさえ日本に法人税を払っていないAmazonをさらに儲けさせるよりは、日本に税金を納め、日本で生産・消費活動を行う日本人にAmazonの利益の一部を分配したほうが、日本にとってプラスになると思います。

アフィリエイトというやり方がよく批判されるのは、それを巧妙に隠して誤クリックを狙ったり、人気商品のアフィリンクを踏ませるために2chや人気サイトからの無断転載でアクセス数を稼いだりといった手法が横行しているからだと思います。当ブログやbotのように、Amazonのリンクであることを明記した上で、目的のものだけを紹介することは、本来の正しいアフィリエイト利用法であり、批判の対象には当たらないと考えています。記事でも書いているように、当ブログやbotはCD屋の試聴サービスのようなものと捉えていただければと思います。レコード屋で店員おすすめのアーティストやアルバムが宣伝されていたとしても、営利目的だからといって批判する人はほとんどいないのではないでしょうか。

なお、Amazonからの報酬をYouTubeやAmazonでの情報収集・リンク作成等にかかる時間で割って時給を考えてみると、コンビニでバイトでもしていた方がずっとマシであることを付け加えておきます(泣)
Posted by 管理人 at 2013年03月05日 06:22
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